他の犬と違った点
バウ子と暮らし始めてから感じていたこと。
それは
この子、めっちゃこっち見る!ということ。
どんなときでもこちらをじーっ。
とにかく見る!
いつでも見る!
初めは新しい飼い主である私への警戒心からこちらを見つめているのだと思っていました。
しかし、どうやら違うかもと気づいたのはもう少し先。
里親になってからしばらく経っても私が帰宅した際のバウ子の出迎えはありませんでした。
私が手洗いを済ませ、お茶を飲んでいても無反応で寝続けているバウ子。
まだ家族として認識していないのね。だから無反応。
そんな風に思っていました。
ところが、しばらくすると鼻をくんくんさせて目を覚まして辺りを見回し、
私の姿を見つけると走ってきては大はしゃぎ。
こんなに喜ぶなら帰宅時に飛び起きてくれてもいいのに。
そのときもまだバウ子の異変には気付けていませんでした。
疑惑が確信へ
ある日、料理を始めようとした私が鍋を落としてしまい、
ガチャーン!!という金属音が響きました。
人間でもびっくりするくらいの大きな音。
犬なら飛び起きてもいいはず。
それでもバウ子は爆睡。
この音に驚かないなんて、おっとりしているというレベルを超えている。
もしかして、聞こえてない?
私はバウ子の後ろに回って拍手をしたり、呼びかけてみたり、いろいろ試しました。
うん、やっぱり聞こえていない。
聞こえていないから私の帰宅に気づくのにも時間がかかる。
人の動きをじーっと見るのも耳が聞こえないから。
耳からの情報がない分、目からの情報を集めていたのです。
生まれてからずっと聞こえていないのか、病気などで途中から聞こえなくなったのか、
保健所に入れられたショックで一時的に聞こえていないのか、それはわかりません。
耳が聞こえなくても、バウ子はバウ子。
我が家の大切な家族です。
しっかりとこちらを見てくれるからなんの不自由もなく
コミュニケーションを取れています。
耳が聞こえないとわかってから心がけたこと
耳が聞こえていると思っていた頃
バウ子の耳が聞こえないと判明するまでは
「バウ子ちゃーん♪」と呼びかけながらすぐに体に触れていました。
驚いてそのまま部屋の隅っこに向かって走って行ってしまうことが度々。
触られることに慣れていないのかと思っていましたが、耳が聞こえないせいだったのです。
人間が物陰から驚かされて飛び上がっているのと同じ感覚だったのかも。
悪いことをしてしまっていました。
耳が聞こえないのであればまずはこちらの存在に気付いてもらうしかない。
・まずは視界に入る
・アイコンタクト
・手の甲を鼻の前に持って行ってこちらを認識させる
・手を開いて顎の下に差し出す
・近付いてきてくれたら撫でる
この手順を踏むと驚くこともなくなり、スムーズに触らせてくれるようになりました。
差し出された手に顔を近づければ撫でてもらえるということをバウ子自身も覚えたようで、
今では私が座ったまま両手を大きく広げると猛ダッシュでこちらに走ってきて顔や体を押し付けて甘えてきます。
ジェスチャーで伝える
両手を広げて差し出す=撫でてもらえる
これを学習したバウ子。
手招きor床や膝を叩く=おいで
ということも教えました。
トイレシーツの手前で用を足そうとしてしまうことが時々あるので、
トイレシーツに向かって指差しし「ここでして」と合図を送ると奥に入ってくれるようにもなりました。
おもちゃを投げて遊んでいる最中におもちゃを見失ってしまったバウ子に場所を教える際にも
指差しでその方向を示すと理解してくれます。
耳が聞こえないことはハンディキャップかもしれませんが、今では何不自由なく共に生活できています。
しかし、このジェスチャーはただ指を差したり、手招きしたりすればいいというものではないのです。
重要なのはアイコンタクト
バウ子と遊ぼうとした友人がなかなかコミュニケーションを取れず、
『バウ子が来ない・・・』と肩を落としていることがあります。
どんな風に呼んでいるのかと眺めていると、アイコンタクトをしていない。
ただ自分の思うタイミングで手招きしたり、おもちゃを指差したり、まさに単独プレイ。
ただでさえ耳が聞こえていないバウ子。
いきなり手招きされても気付きません。
まずは視界に入ってしっかりアイコンタクト。
目を合わせるとバウ子も『何か指示がくる』と集中してくれるので、ジェスチャーがスムーズに伝わります。
人間も話すときは目を見て通じ合いますよね。それと同じです。
余談 聞こえないのについ話しかける
耳が聞こえていないのだから呼びかけても無駄。
話し掛けてもわかっていない。
そんな風に思われてしまうかもしれませんが、私や夫はバウ子にいつも話し掛けています。
無表情で手招きして、無表情で触れ合うよりも
『かわいいねー。』と笑顔で話し掛けながら触れ合う方がバウ子も楽しそうだから。
私たちの声をバウ子が認識する日はずっと来ないかもしれないけれど、
家族の一員として愛されていることだけは伝わっててくれたら嬉しい。
そんな風に思いながら共に暮らしています。