犬の世話だけはマメな私
記憶のある3歳から私の隣には常に犬がいました。
3歳のときには祖父母の飼っていたチビちゃんとラッキーちゃんと遊び、
6歳のときには念願の自分だけのわんこを自宅で飼いました。
その犬は19歳まで生きてくれて私の成長の過程をすべて見守っていてくれていたと言ってもいいくらいの存在。
その犬と暮らしている最中も次々と行き場のない犬を飼ってはお世話をするような毎日。
十代のときも犬が待っているからと真っ直ぐに家に帰り、
二十歳を過ぎてからも犬が心配で飲み会などにも行かず明るいうちに帰宅。
悲しいことに合コンすら行ったことがありません(笑)
親や近所の人に『犬の世話だけはマメね!』と言われるほど。
犬の世話だけはって若干失礼な言い方!
けれど、本当にそうでした。
仕事を選ぶときもなるべく休みやすい仕事をと考え、
自分でまつ毛エクステのサロンを立ち上げて完全予約制を取りました。
完全予約にしてしまえばぎりぎりまで犬といて、仕事が終わったらすぐに犬と会える。
頭の中は犬犬犬でいっぱい。
最初に飼った犬が少しぼけてしまって夜中に何度も起きてご飯を求めていたり、
排泄物を垂れ流していても1時間置きに起きて体を拭いたり、寝かしつけたりしていました。
不思議と苦ではなかったけれど、手帳を買っても予定を一日も書き込まずに一年が終わり、
習い事を始めても数回で飽きてしまう私がなぜここまで犬には夢中になれるのか。
それは不思議ではありました。
見知らぬ犬に言われた言葉
一人暮らしをしても犬だけは手放さず、相変わらず犬中心の生活をしていたある日。
夢にヨークシャーテリアが出てきました。
赤いリボンの茶色い毛。
耳の毛だけこげ茶色でした。
初めて見るわんちゃん。
その子が私に言いました。
『そんなに頑張らなくてもいいよ。
わかってるから。』
その言葉に対して私は謝っており、目が覚めたときには泣いていて頬と枕が濡れていました。
見知らぬその犬に言われた一言で私は心が楽になったことを覚えています。
背負っていた何かを下ろせた気がしたのです。
その犬の正体が判明
実家の母と話す機会があり、犬の話になったので夢に出てきた犬の話をしました。
ヨークシャーテリアで、『そんなに頑張らなくてもいいよ。わかってるから。』と言われたこと。
赤いリボンを付けた子で…と特徴を途中まで話したところ、母が言いました。
『ルウだ!あんたが生まれる前に飼ってた犬。』
なんと母は私が生まれる前にヨークシャーテリアを飼っていたとのこと。
詳しく聞いてみると
・父の実家で同棲を始めたときにヨークシャーテリアを飼った
・結婚して妊娠したときに義母から犬と赤ちゃんを同じ屋根の下に住まわせるなんてダメだと言われた
・仕方なく親戚のおじさんに預けたが、途中で逃げてしまい行方不明のまま
こんなことを教えてくれました。
私があまりにも犬と仲良くする姿を見て、
『ルウちゃんがいたらいい相棒になったのにな。
手放さなきゃよかった。。』と後悔していたとのこと。
一般家庭で生まれて貰い手のない犬、ペットショップで売れ残り隅っこに置かれた犬。
保健所に収容されていた犬、繁殖引退犬。
助けなきゃ!どうにかしなきゃ!と引き取って世話をしていた私の姿を見て、
ルウちゃんは許してくれたのでしょうか。
家庭環境が複雑だったこともあり、生きていることが嫌になることが多々ありました。
今思うと、実家にいたときの私の頭の片隅にはいつも
「死にたいな。」という思いがありました。
でも、それとは違ったよく分からない引っ掛かりが胸の中にあったのです。
「私は生まれない方がよかったのでは?」という生まれたことへの後悔。
もしかしたら、敏感と言われる幼少期の私は
自分と引き換えに家を出された犬がいたことを感じ取ったのかもしれません。
せめてもの償いにと行き場のない子に目を向け、たとえ一匹だけでもと家族として迎えていたのでは?
そう考えると、犬にだけはマメな私の行動にも納得がいきます。
夢に出てきたのが本当にルウちゃんなら、
いつか虹の橋の向こうで会って謝りたいし、お礼も言いたいです。
私を犬好きにしてくれてありがとう。
ルウちゃんの幸せを奪ってごめんね。
結婚した時点で今後妊娠するかもしれないということは想定できたわけだし、
義母に反対されたからと言って愛犬を手放せる両親の考えは理解できません。
犬と赤ちゃんを別々の部屋にしたり、
サークルで仕切るなどできる対策はあったはずです。
ルウちゃんへのごめんねの気持ちは一生消えそうにありません。