入学するきっかけ
母は私を産むまで理容師として働いていました。子育て中は専業主婦をし、私が成人する頃に離婚。
離婚をきっかけに新たな道を歩みたいとのことで母が理容師をオープンさせ、それから7年が経ち、お店は安定してきました。
スタッフさんはいたものの、やはり考え方の違いや性格の違いもあり、その方が長く勤めてくれるとも限らない…。
中には売り上げをごまかして自分の懐に入れたり、ときには全額を持ち逃げをする人もいるような世界。それでも従業員がいてくれないとお客様も呼べない。
であれば、何かあったときに私がヘルプに入れるように理容師か美容師の免許を取っておこう!
と思って勢いで入学。
当時は独身だったこともあり、資格があれば困ることもないだろうという気持ちもあって燃えていました。最初だけね、最初だけ(笑)
せっかくなのでそのときの体験談を書いてみます。
入試
入試と書くと学科や面接など、難しいことが待ち構えていそうですよね。
ところがどっこい!通信コースは受験に必要な書類を記入して送るだけ!
あとは結果待ちです。
記入の不備がなければほぼ全員受かる。
・名前
・住所
・生年月日
・最終学歴
・勤務先
・履歴書に貼るような写真…
あとは希望コースにチェックを入れて終わり。試験というより、単なる“申込み”のようなものです。
※学校にもよるとは思いますが、サロン従事者として入学したい場合はサロンオーナーのサインと捺印が必要でした。その点はご注意を。
サロン従事者と非従事者の違い
スクーリング(実技講習)の時間数に差があります。
☆サロン従事者は300時間
☆非従事者は600時間
サロンで働いていることで実習を半分で済ませることができるので、学費の面でも数十万の差が出ました。
働きながら勉強することは大変だとは思いますが、
・少しでも安く済ませたい
・学校に行く回数も減らしたい
という方にはオススメです。
通学300時間と言われてもイメージわかないですよね。月計算で言ったら月に1回9時から16時まで学校に行くイメージです。
600時間の方は週に1度、9時から16時まで学校に行っていました。
※3年目の国家試験前は集中的に練習するので、もっと通学頻度が増えます。
年に1度、一気に3週間くらいの実習をする学校もあれば月に1度、週に1度と定期的に実習の時間を取っている学校もあります。
入学前の相談会はどの学校でも行っているはずなので、疑問点は質問して、ご自身の生活スタイルに合った学校を探してみるといいですよ。
入学後の費用
私の入ったところは3年間の合計で65万円くらいでした。
入学時に3分の1くらい支払い、残りを6回に分けて半年に1度振込をする感じ。
授業料だけ聞くと、これで資格が取れるなら安いと思うかもしれません。
しかし、問題は消耗品!実習のカットウィッグは切ったら終わりなので実習の度に買い足しが必要です。
最初のうちは実習もスローペースなので1日1つあれば十分ですが、慣れてくると1日2つ使ったりもします。そして、実習のない日は自宅で練習もします。
切ったらもう使えないのにこれが案外高い。毛量もしっかりしていて、毛の引っ掛かりがないものは15,000円~します。
質にはこだわらない場合はもっと安く買えるものもあるので、うまく使い分けをすることをおすすめします。
その他の道具も一度買えばOKではなく、
・ハサミ→定期的な研ぎが必要
・シェービングのソープ→消耗品
・コーム→曲がる、折れる
・スプレイヤー→押しても出ない、割れる
このように、買い直しやメンテナンスが必要なこともあります。
数百円~数千円の出費でも積み重なると大きくなりがち。
学費だけではなく、3年間の道具代、消耗品代も考慮しておくと請求の度にソワソワしなくて済みます。
クラスの年齢層
通信クラスは全員で計15人くらい(1年間で1度も全員が揃ったことがない…)。
内2人が10代後半の男の子。あとは女性。19歳~60代まで万遍なくいました。
こんな年齢だから学校なんて…という心配は全くいりません。
やりたいと思った時が始めどき!!
通信の場合は滅多に実習もなく、実習があっても仕事の都合で休む方も多いので周りのことは気にせずにマイペースで過ごしたい方には良い環境かと思います。
実習と実習時に困ったこと
カット実習の場合の持ち物は
・カットウィッグ
・クランプ
・ハサミ
・コーム
・スプレイヤー
・雑巾
・タオル
・上履き
・指定の教科書
シェービング実習の場合は
・カットウィッグ
・シェービングセット
・雑巾
・タオル
・上履き
・指定の教科書
昼間の2年コースの生徒はバッグなども全員お揃いのものを使用していましたが通信コースは何の指定もありません。
旅行の時に使うコロコロつきのキャリーで来ている方、リュックで来ている方、手提げで来ている方、様々でした。
実習で困ったこと
先ほど書いたように、2年コース(昼間の全日制)の生徒はお揃いで荷物を揃えています。
しかし、通信コースはハサミもコームもウィッグもすべて自分で揃えなくてはいけませんでした。
それも「○○メーカーの品番○○」と指定もされていないので「なにその道具…。これでいいか…」というような感覚で揃えて持っていきます。
いざ持っていくと先生から『これじゃなくて、どこどこのメーカーの○○がいいんだよ』と初めて聞かされます。そうなると次回までに買い直そうという気になりますよね。
そして、次の実習になると先生が違うんです。買い直してきた道具を見て『その道具は国家試験だと認められてないから使えないよ。』とその道具にNGを出してくることが多々ありました。
やはり専門学校もメインは昼間の2年間の全日コース。通信へのケアは正直言って行き届いていませんでした。
カット手順も道具も先生によって言うことはバラバラ。一体何を信じればいいの?という状態で1年目は終了。
先生に言われる度に買い直していては出費もばかにならないので、入学前に聞ける環境であれば品番まで聞いておくといいですよ。
座学
実習に関しては理容は理容、美容は美容で分かれて受けていましたが、学科に関しては同じ年に入学した人と合同で受けました。
誰かが指名されて答えるようなことはなく、先生が一方的に話すので、指示された通りにマーカーを引いたり、メモを書き加えたりしていればOKでした。
国家試験に出るところは大体決まっているので、先生方もポイントとなるところだけを教えてくれる感じです。
これは大人が集まる通信ならではかもしれませんが、寝ていようが天井を見上げて口を開けてようが、基本放置です。
“学ぶ場は作るけれど、学ぶかは個人の自由”というスタイル。自己管理できる人じゃないと置いて行かれてしまいます。
課題提出・切手代のお得情報
学科の課題は月に1回くらい、教科書とともにセンターから送られてきます。返信用封筒も入っているので、課題を入れて送り返せばOK。
提出期限を過ぎても課題を放置していると、次の教科書をもらえなくなってしまうので要注意。
そして、この課題。1つだけ優しいシステムがあります。
なんと、100グラムまで15円で送ることができるのです!
※消費増税などで現在は料金が変わっているかもしれません。その都度ご確認ください。
これは第四種郵便というもので文部科学省から認可された通信教育の為に使用する了承を得た郵便です。
封書の一部切って中が見えるようにして、封筒に「通信教育」と記載することで適用されます。
センターからの教材に同梱されている返信用封筒には既に切り込みも入っていて「通信教育」の記載もあるので、15円分の切手だけ貼ってポストに入れれば完了です。
課題の解答用紙は小さな紙1枚なので、私は5回分くらいの課題を溜めてから1度に送っていました。
1回1回送るよりも送料節約になるので。
課題は教科書を見ながら解答を記入すればいいので、点数は100点を取ることも可能です。
しかし、国家試験当日は教科書は見られません。
通信教材の課題で100点を取っただけで「できた気になる」ことは恐ろしいと思いました。
実際、私も1年間の課題を提出した後に再び自力で問題を解いてみたところ、何1つ記憶に残っていませんでした。
3年目にはこれを全部暗記しておかなくてはいけないのか…。そう考えたら一気にやる気がなくなったのは言うまでもありません(笑)
通信の1年目は学校でのテストもなければ、先生たちに学科について何か言われることもありません。
1日の勉強時間を計画的に取って、それを実行できる人しか残れないし国試に受けることもないのだと思います。
自由だからこそ厳しい世界。
気になる合格率は以下の見出しでどうぞ♪
合格率・退学や欠席の手続き
私のいた学校では通信の場合、合格率については入学時にこう言われました。
『卒業までに半分はいなくなり、受かるのはその半分』ですと。
ということは通信の合格率は25%?
これを聞いたときは「なんて少ない合格率なんだろう。通う日数もそこまで多くないんだから通えるでしょ。」と思ってました。
しかし、私の行った学校の通信は完全放置主義。
欠席の連絡→不要
遅刻の連絡→不要
退学の連絡→不要
すべて不要だったのです。
退学したい場合は課題を提出しなければ配本が停止されます。
新しい年が始まる頃、学校から今後の授業料の振込用紙が送られてきますが振り込まずに放置すればそのまま退学。
実は私も退学組です。
入学当時は夫とお付き合いしておらず、今後も一人で生きていくのだと意気込んでいたものの、
結婚していざ専業主婦になってしまうと、「資格をとっても活かせないのでは?」と思うようになりました。
そんなとき、母から母の経営する理容室が閉店になるとの連絡が…。なんとテナントから雨漏りがひどく、大家さんが今後の賃貸契約をやめたいと申し出があったとのこと。
新店を出すにも、再び設備を揃えて保健所の検査を取り、1から集客することは母の年齢的にも体力的にも厳しいだろうということで閉店決定。
私が理容師資格を取る必要性がなくなったので、2年で退学となりました。
しかし、母は自身の店を閉店後も引っ張りだこ。面接に行くと即店長として採用されています。
今や2店舗の店長なんだとか。それを聞くと国家資格は強いですね。
いくら手先が器用でカットがうまいと言っても、資格がなければ面接すら受けられません。
スタートラインにすら立てないのだと思うと、取れる環境があるのであれば資格は取っておくと損はないのかも。
これから通信で理容師を目指そうという方!
途中離脱した私の分まで楽しんで、将来は輝く理容師さんになってくださいね!!