愛犬の心臓病(肺高血圧症)が発覚し呼吸が不安定になってしまいました。
余命1週間~3ヶ月ということで酸素室のレンタルをしました。
高齢の犬ちゃん、猫ちゃん、小動物ちゃんが増えてきた今、酸素室を必要とする方もいらっしゃると思うので、使ってみた感想を私なりに残しておきます。
酸素室を設置できない場所
酸素室で使う酸素発生器は室内の酸素を吸いこんで濃縮して放出される仕組みです。そのため、室内のにおいがそのまま酸素室に送られてしまうんです。
・料理の匂い
・煙草の匂いや煙
・お香や芳香剤、香水
そういったものが充満した部屋で使うと酸素室の中の匂いが強くなるので要注意。
また、酸素発生器を置く部屋は火気厳禁です。
・火が出る調理器具
・たばこ、ライター
・お香、お線香、マッチ
そういったものは同じ部屋では使えません。
我が家でも最初はみんながいるリビングに酸素室を設置しようと計画しましたが、これらの説明を聞いて別の階に設置しました。
酸素室から出る時の注意点
私の愛犬は酸素室でのトイレを嫌がるので、いつも使っているトイレでさせているのですが、急に酸素室から出してしまうと部屋と酸素室の酸素濃度の差で体に負担が掛かってしまいます。酸素室から出すときは徐々に酸素室の中の酸素濃度を下げて外との差をなくしてから出しましょう。
分かってはいても、すぐに外に出たい犬にはそれが通用しないので、そういうときは本体に付属品のチューブや酸素マスクを差して使うこともできます。酸素は下に溜まるので、チューブを鼻より高い位置にかざしながら愛犬と一緒に歩けば室内でも苦しくなく過ごすことができます。
酸素室内の温度管理
酸素室に送りこまれる酸素の温度は酸素発生器の置いてある部屋の温度とほぼ同じだそうです。そのため、部屋が暑ければ暑い酸素が送り込まれてしまうということ。そして、酸素室は酸素が漏れないように密閉されています。熱がこもりやすいので、春夏は要注意です。
キッチンの匂いと火気は厳禁と聞き、設置の候補場所を3階の寝室にしようと思った我が家でしたが、3階の南側の部屋は日差しでとにかく暑いんです。エアコンがあるとはいえ、常に日差しが当たっていては酸素室内が灼熱サウナになってしまうだろうということで、最終的には1階の北側の部屋に設置することになりました。直射日光は当たらず、ニオイも火気もない。エアコンもある。今のところ、快適に過ごせています。
停電・故障対策
便利な商品とはいえ、やはり機械ですから故障もあれば停電時の動作停止もありますよね。酸素発生器が停まってしまった時に酸素室の気温が上がり続けてしまうと困るので、レンタル会社の方に相談したところ、「常に酸素室の上部を少し開けておくとよい」とのことでした。アドバイス通り、酸素室の上のファスナーを15cmほど開けて使用していますが、酸素は下に溜まるので、上部を少し開けても酸素濃度が大幅に下がってしまうということはありません。
レンタルの場合は故障時は連絡すれば動く物をすぐに持ってきてくれますが、自分で購入したものだとそうはいかないですよね。長時間の故障や停電の場合は酸素が薄くなってしまうでしょうから、我が家では酸素缶を常備予定です。
酸素室レンタルの費用
毎日使うものだから誰もが気になる料金ですよね。
私が契約したレンタル酸素室は初期費用が約3万円。
月額が約2万円でした。その他に定期的にメンテナンス代3000円弱が掛かります。
返却時は5500円の搬出代がかかります。
初期費用合わせたら最初の1ヶ月だけで既に5万円。そして搬出代が必ず5500円。もう55500円かかっているんですよね。購入した場合は8万円~。買った方が安そうなので検討中です。※結局、2023年7月に購入しました。
こちらがゼオライトの耐久期間が5000時間。カートリッジの交換もできるということだったので、購入をしようと思っています。
酸素濃度計
先ほど載せた酸素室セットの商品リンクや私の載せた犬の酸素室の写真をご覧になり、
「正面にくっついている黄色い機械は何?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
使用方法
設置は至って簡単でコードをコンセントに差し込んで電源を入れるだけ。
酸素室にチューブを差し込んで使うことはもちろん、チューブを直接鼻に持って行って吸わせることもできます。酸素は重いので、鼻より下にチューブを持って行っても下に沈んで行ってしまうので吸うことができません。チューブで吸わせるときは鼻より上に持って行くことがポイントです。
酸素室での犬の様子
酸素室にいるときは咳込むことも息切れすることもなく、お腹を出してくつろいでいます。ときにはぬいぐるみを噛んだり、隙間から差し込んだ私の手にじゃれてきたりと、入院していたら叶わなかったであろう家族の時間を過ごすことができています。
酸素室の中だと元気でもやはり酸素室から出ると5分も経たずに「がぁー!」と深く息を吸って苦しそうにするので、チューブで常に酸素を送りながら後ろをついていくという形で過ごしています。
酸素発生器の音(動画あり)
音がどのくらいなのか気になるという方もいらっしゃると思うので、短いですが動画を載せておきます。モーター音が常にするのと、数秒に一回「プシュー!」という音が聞こえると思います。
最初は随分音がするのだなぁと思っていましたが、この機械が愛犬の快適に過ごす手助けをしてくれているのだと思ったら何も気にならなくなり、今や稼働中でも全く気にせず爆睡するほどです(笑)
導入した感想
音は許容範囲、使い方も簡単。そして何より愛犬が酸欠から解放されて穏やかな顔をしている。それだけで導入して良かったと思っています。ただ、レンタルだとコストがかかるので、早めに購入したいと思っています。
電気代
これに関してはまだ導入したばかりなのでどれだけ高くなっているのかが不明です。レンタル酸素室の担当者さんによると「やはり数千円いきます。小さなエアコンが一台稼働していると考えてください」ということでした。
自宅療養を選んだ理由
私を含め、動物と暮らす方々が共通して考えていることは「大切な家族に安心して過ごして欲しい、幸せに過ごしてほしい」ということだと思います。私達夫婦は愛犬が病気になる前から定期的に「もし病気になったらどういった治療をするか。手術や入院を勧められたら医師に言われるがまましていいのか。治療をしないと決める基準はどこにするか。」を話し合ってきました。
その結果、出た結論は「手術や入院をして命が助かり、元の生活に戻れるのであれば病院にお任せするが、手術しても治る見込みがない、そして手術後も入院と検査の繰り返しで愛犬に負担がかかるのであれば自宅療養で家族の時間を優先させよう」ということでした。
そして今回、愛犬の心臓病が発覚し、医師は捲し立てるように『あの検査をしてこの検査をして、入院して様子見て、もう一回検査して・・・』と説明を始めました。でも、その中ではっきりと『まぁ、進行性の病気で予後や極めて悪いのでね!』と言ったんです。それを聞いて私達は「治るならお任せするけれど、その見込みがなく、病院の酸素室に入れて天国への旅立ちを待つのであれば、自宅で家族と過ごしたいです」と伝えました。
進行性の病気なので、検査して投薬しても余命は1週間~3ヶ月だそうです。
病院にいるときの愛犬の顔がこちらです。
家では見せないとても不安そうな顔。ご飯も全く食べなかったそうです。連れて帰って来てからは酸素室の中で遊んで尻尾を振り、ご飯も吠えて催促する程になりました。病院で延命した方が日数としては長く生きられるのかもしれない。ですが、入院中は家族と離れ離れで、亡くなってから連絡が来るというのは愛犬にも私達にとっても「幸せ」とは言えない気がしたんです。自宅だと急変しても注射も点滴もない。だけど、その日が来るまではずっと触れ合っていられる。常に一緒にいられる安心感と幸福感と中身の濃さで言ったら自宅療養が私達には合っている。そう判断しました。
自宅の酸素室の中でお腹を出してくつろぎ、家族の行動を目で追いながら尻尾を振っている姿を見ると、今回は自宅療養を選んでよかったと思えました。食欲もあり、散歩も楽しんでいた愛犬。まだまだ若いと思っていましたが、体は年齢に合った衰え方をしていたようです。病気発覚は悔しいですが、病気が分かったことで、「家族で過ごせる時間を今以上に大切に!」と一致団結できました。病気発覚のきっかけとなった咳は別れの日までの心の準備ができるようにと愛犬が出してくれたサインなのだと思って、“今”を大切に過ごそうと思っています。
ここを見てくださった方の中にも大切な家族が酸素室が必要な状況にある方がいらっしゃるかもしれません。皆様やそのご家族が温かい毎日を過ごせることを願っています。